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歴史は繰り返す:ChatGPTの発表から見える新たな競争の幕開け

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2023117日、OpenAIの開発者向けカンファレンスDevDayで、ChatGPTに関連したアップデートが発表されました。詳細については、がわかりやすいのではないかと思います。また、今年の9月、OpenAICEOであるアルトマンは、元Appleの伝説的デザイナーであるジョナサン・アイブに対して、AIデバイスの開発プロジェクトへの参加を求めたという

この一連の動きを見ていると「歴史は繰り返す」という言葉を思い起こさずにはいられません。

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1990年代の初めにインターネットが登場し、世界が隅々までネットワークでつながる社会が到来しました。そんなネットワークを行き交うデータを広範かつ大規模に取得することが、社会における覇権を握る決め手となる時代を迎えたのです。そのことをいち早く悟ったのが、Microsoftです。

Microsoftは、1981年にMS-DOSをリリースして以降、PC OSで大きなシェアを握りました。まだこの時代は、PCをネットワークに接続することは特別であり、限られたユーザーがパソコン通信で情報をやり取りするに留まっていました。1990年代に入りインターネットの時代が到来すると、Microsoftは、1995年、Windows95とともにWebブラウザーInternet Explorer(IE)をリリース、PC OSの圧倒的なシェアを基盤にインターネットの窓口、すなわちユーザーがデータをやり取りする玄関(ポータル)/ゲートウェイを掌握したのです。

その後、1998年、Googleがブラウザーで使う検索エンジンの提供を始め、データの玄関をMicrosoftにただ乗りするカタチで手に入れました。

Googleは、2005年、Webブラウザー上でアプリケーションを実行できるAjaxを使ってGoogle Mapをリリース、その後、様々なAjaxアプリケーションがリリースされるようになり、OSに依存せずにアプリケーションが利用できる可能性が示されました。

当時、Microsoftは、PCにインストールするOSであるWindowsOfficeが大きな収益源でした。OSにも依存せず、インストールの必要もないアプリの普及は大きな脅威だったわけです。そのため、アプリケーション実行環境としての自社Webブラウザー IEの性能向上には、不熱心でした。

そんな状況に業を煮やしたGoogleは、2008年に独自のブラウザーであるChromeをリリース、その軽快さやアプリケーション実行環境としての性能の高さにより、IEのシェアを脅かす事態となったのです。また、2010年、Chromeを動かすことに特化したChrome OSをリリース、Google Appsと呼ばれるオフィス・アプリケーション(いまのGoogle Suite)の充実にも取り組みました。結果として、Webブラウザー、検索エンジン、オフィス・アプリケーション、エンドユーザーデバイスといったネットを流れるデータの玄関に於いて、Googleは大きなシェアを持つようになったのです。

2007年、AppleiPhoneをリリースしました。電話機として、あるいは、音楽プレーヤーとして使える「携帯できるインターネット常時接続パソコン=スマートフォン」として、それを持ち歩く人のデーターのやり取りの玄関となるデバイスとなりました。2008年、Googleは自社が買収した企業の開発したスマートフォンOSAndoroidをオープンソースとして提供、自社のWebブラウザー、検索エンジンと抱き合わせて、この玄関を押さえる施策に出ました。Google2013年に自社開発のスマートフォン Pixleをリリースし、この戦略をさらに加速させています。

その後スマートフォンは、アプリケーション・マーケットであるApp StoreGoogle Playを介して、無料や安価でアプリを導入できる仕組みを提供し、多様なカタチでユーザーの行動データを取得できる手段を手に入れたわけです。

また、2014年、Amazonが、音声という身近なユーザー・インターフェイスでネットのサービスを利用できるゲートウェイ端末 Alexaをリリースしました。これは、今ひとつ普及はしなかったのですが、これも玄関を抑える戦略の1つです。また、2015年、Appleは、Apple Watchを発表し、ユーザーのきめ細かな行動データや身体データを取得する手段を手にしました。

冒頭でも述べたように、「ネットワークを行き交うデータを広範かつ大規模に取得することが、社会における覇権を握る決め手となる時代」を迎え、「データ取得のフロントエンド」を手に入れることは、大きな戦略的な価値を持つわけです。OpenAIの今回の発表は、まさにこの歴史のトレンドを踏襲してたいます。

つまり、ユーザーが様々なデータを提供し、ネットからデータを受け取るフロントエンドを抑えることで、ユーザーに関わるデータを手に入れ、デジタル経済圏の玄関となり、社会における覇権を握ろうというわけです。

OpenAIのアップデートやAIデバイスの開発、そこに、Microsoftが莫大な資金援助を行い、自社製品への組み込みを積極的に進めている一連の動きは、まさに、「データ取得のフロントエンド」における圧倒的な地位を手に入れようとするものです。

ツールとしての機能や性能、利便性という視点だけではなく、「歴史は繰り返す」という視点からこの一連の動きを捉えると、違った見え方ができるのではありませんか。

是非、この機会に、を体験して下さい。

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2022年10月3日紙版発売
2022年9月30日電子版発売
斎藤昌義 著
A5判/384ページ
定価2,200円(本体2,000円+税10%)
ISBN 978-4-297-13054-1

目次

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  • 第2章 最新のITトレンドを理解するためのデジタルとITの基本
  • 第3章 ビジネスに変革を迫るデジタル・トランスフォーメーション
  • 第4章 DXを支えるITインフラストラクチャー
  • 第5章 コンピューターの使い方の新しい常識となったクラウド・コンピューティング
  • 第6章 デジタル前提の社会に適応するためのサイバー・セキュリティ
  • 第7章 あらゆるものごとやできごとをデータでつなぐIoTと5G
  • 第8章 複雑化する社会を理解し適応するためのAIとデータ・サイエンス
  • 第9章 圧倒的なスピードが求められる開発と運用
  • 第10章 いま注目しておきたいテクノロジー
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